unknown

 

日替わりに交代で、床に寝るかベッドで寝るかを決めていた。狭いアパートの一部屋。まともな敷き布団も無かったが、しなやかな若い身体と、季節が、それをさほど苦にはさせなかった。
安物の扇風機がカタカタと回る、風通しの悪い部屋の熱帯夜には、フローリングの床が、ベッドのマットレスよりも冷たく心地良かったのだ。

季節の巡り、突然に。
急な冷え込みに、この季節が来ると予期せぬ事はなかったが、まだ先であろう、先であって欲しいとの願望を飲み下して日々眠りに着き、揺り起こされ、戸惑わずにはいられない。
部屋は気密性も低く、断熱なども。屋外が冷えれば、屋内もすぐさまそれに習い従った。

冬の服を慌てて引っ張り出し、何重にも重ねれば、凌げるかもしれない。そうして、ルールに従って、シグルドは床に布団を広げる。その様子をベッドに上がり、沈黙して見守っていたカーランだったが、とうとう、口に出した。黙っている事はできない、騙し続けてもいられない、そのように。現実問題を。
「この先、もっと寒くなる」
着込んで耐えられるのは何時までか。分からない筈はない。
それを聞き、自らに言い聞かせるような笑みを、シグルドも収め、床にへたり込んだままでカーランを見上げた。カーランは視線だけで応え、口を噤む。ほんの一拍だけそうしていて、視線を外すと、ずるずると身体を滑らせ、壁際に寄らせた。

11.3.24

続…けられるかなぁ

続きました