所属

 

「あれ?黒いな」
「黒い?」
「服。色、濃い。あと……長い?」
「ああ……」
「軍の?」
「そうだ」
「似合ってるじゃん」
「お前のも、じきに支給されるだろう」
「何か、いいな。格好良いな」
「そうか」
「悪の組織って感じ」
「……良いのか、それは」
「良いよ。似合ってる」
「誉められているのか、複雑だな」
「誉めてるんだって。格好良い。なぁ、少し、貸してくれよ。着てみたい」
「ここでか?」
「上着だけ」
「ふむ」
「似合ってる?」
「似合っている」
「悪の組織っぽい?」
「……いや」
「ははっ、真面目だな」
「悪の組織というものが、分からん」
「そうだよな」
「良いか、もう」
「ん、ありがとう。そうだ、飯食った?」
「まだだ」
「飯食い行こうぜ」
「あぁ」

その頃のままのように感じた。
向けられた表情は、見つかってしまったと罰が悪そうにしながら何処か喜んでもいるような。
「着れた」
少しきついと感じるのか、胸元や袖の端を引っ張ってみたりしていたが、外から見る限りには丁度良さそうだった。
「似合うか?」
軽く角度を変えながら、腰に手を当てて尋ね、照れも含ませて笑ってみせている。
「似合っていない」
「何」
「悪の組織のようだ」
失笑し、悪の組織とは具体的に如何、と質問が投げられる。答えもせず、ただ肩だけ竦めてみせた。
「似合わん」
「お世辞くらい、言ってみせるものだ」
「もう、良いか」
「まだ良くない」
「良くなくても脱げ」
「つまらないな」
名残惜しそうに渋々と脱ぎながら、思い出した、と顔を向ける。
「飯どうする?食堂で食っても良いが、もうすぐ街に停泊するから、外で食っても良い。そうするか?」
「あぁ」
普段の服へ着替え直したシグルドは、確かにこちらの方が馴染む、と独り言のように呟き、ラムサスも戻って来た服を元の場所へ吊るしながら、そうだろう、と相槌を打った。

所属 終


何も考えないで書いたけど……今回ばかりはシグが天然であって欲しいな。
それか、シグの視点に行ってみるとまた別のものが見えそうだなとかとか。
服がキツいのは、シグがすっかりソラリスに飼い殺されとくようなもんじゃなくなったったから、なーんて。
あとシグの方がおっぱい大きいしね!ね!

2011.4.12