新しい朝を
「カールの為なら俺は命だって、躊躇いなく投げ出すよ」 カーランは一度シグルドを見て、顔を歪めて、笑う。 「馬鹿な事を。だからお前は、すぐに周りが見えなくなって感情で動いてしまうんだ。反省しろ。得意気に、言う事じゃあない」 青いまま、それどころか、実の生る前に花の咲く前に、行ってしまうのだから。 どこまでも行ける、二人で行けると、思っていた。青い二人。 「背中に羽があれば、自由に行き来できたんじゃないか。なんて恥ずかしい事も考えたさ。夢ばっかり見てた、阿呆だな、若いっていうのは」 星よりももっと近くに居るのに、会えないなんて、空はどれだけ高いのか気が遠くなってしまう。時はもっと遠く、あの時何を想ったのかなんて、今はもうすっかり忘れてしまっていて、あの時の阿呆な気持ちも何処かへ流れてしまった。 月と泳ぐ、羽の生えた鯨。夢のような話が現実になっても、「君に会える」なんて真っ先には思わなかったよ。 「いっそ死んでしまえば、終われると。どこかで思っていたのかもしれない」 それなのに、生き延びてしまった。人として生きる道とは、何だったのだろう。ずっと信じて歩いてきた道は、果たしてそれだったのか。 そしてまたここに、行き着いた。 全て消えてしまってはいないよ、変わらないにおいがする。 言い聞かせて、新しいにおいを嗅ぐ。鼻を擦り合わせて、唇を舐め合って、愛していたと、愛すべき人だったと。 「泣いていたのは、どちらだったかな」 分からないくらい、また雨に濡れる。 |
こんな29シグラムにしても良かったのに。まだ軌道修正は可能ですか…
Cocco「海原の人魚」にインスパイアされて。
あまりに可愛いお歌なもので、恥ずかしいくらい乙女になってしまいましたが。
こんな乙女シグラムが見たいんです。
濡れた人魚は、愛を見た
トゥルラッタトゥルトゥルラッタ♪
2010.11.23