いちご
コンビニへ支払いに行って来ると言って出て行ったシグルドが、ビニール袋をガサガサと言わせながら帰って来た。 また無駄遣いをして来たな。カーランが口を開く前に、罰が悪そうに顔だけ先に覗かせたシグルドが、言い訳をする。 「ケーキ、食べたくなって買って来ちゃった」 ヘラヘラと笑みを浮かべながら、部屋の中へ入り、折り畳みのテーブルの前へ腰掛け、ベッドの上で寝転び読書をしていたカーランに手招きをしている。 「カールにも、お土産」 起き上がって、床の上へ足を着ける頃合で、シグルドは袋の中から紙袋を取り出した。 「からあげ」 同じ袋から、ショートケーキも出て来る。にんまりと笑いながら、そっと蓋を取り外し、ケーキを目を細め眺めながら、小さなプラスチック製のフォークを取り出し、上に乗っている苺へ突き立てる。なかなか刺さって行かず、いくらか埋まってしまってから、持ち上げられる。 「はい」 口を開き、パクリ。 フォークを引き抜いたシグルドが、カーランを見て小さく声を上げて笑う。 「付いてる」 カーランが口元に指を当てる前に、シグルドの指が先に伸び、すっと撫でて、 「ほら」 と指先に付いたクリームを見せてから、自分の口へ運び舐め取ってしまう。 カーランも、唐揚げの紙袋を開き、楊枝を突き立てる。 「ん」 シグルドの大口は、楊枝まで飲み込んでしまいそうで、慌てて引き抜いた。 いちご |
11.3.5
高校生時代。きっとまだ何もそーゆー事してない。